
タンパク質分解酵素と果物
我々の体内では、色々な酵素によって化学反応が助けられています。
体の外の環境なら相当な高温やものすごく強い化学物質で処理しないと分解できない食物を、36~37度程度の体内でシレッと消化してしまうという芸当も、酵素の働きあってこそなのです。
洗剤のCMじゃありませんが、酵素パワーは偉大です。
さらに、人間以外の動物や植物も色々な酵素を持っていて、昔から「生活の知恵」としてその働きは色々なところで活用されて来ました。
例えば牛乳をチーズとして固めたり、大豆から味噌や醤油を作るためにも、酵素の力は必要不可欠です。
そして、ごく身近なところで酵素の働きを実感できる現象があります。
それは、パイナップルやメロンなど、タンパク質分解酵素を持つ果物を食べた時に起こるものです。
生のパイナップルやメロンなどには、タンパク質を分解するプロテアーゼという酵素が含まれていて、これがタンパク質で出来ている舌や口の中の細胞を溶かします。
もちろん「溶かしてしまう」と言ってもそれはごく表面的な反応で、ホラー映画の要に人体がドロドロになったりはしません。
しかし、たくさん食べると口の中がピリピリしたり、喉が妙に痒くなったり・・・という症状が現れるのです。
ちなみに酵素というのは高い温度や長期の保存、他の化学物質との反応なので失活(効果を失ってしまうこと)します。
なので、生のパイナップルだと起こる「口の中ピリピリ現象」も、加熱済みのパイナップルや缶詰では発生しません。
逆に料理などをするときに「酵素の力を使って肉を柔らかくしたい」という場合は、できるだけ新鮮な野菜や果物を使う必要があるということです。
また、野菜や果物の酵素は消化器官を通るうちに失活するため、例えば大量にパイナップルやメロンを食べても、筋肉が分解されて減ってしまうというようなことはありません(笑)。
というわけで、トレーニーの方も口の中が荒れない程度に、安心して新鮮なフルーツを楽しんでほしいと思います。
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