
病原性タンパク質
人間をはじめとする動物がバイ菌やウイルスなどの「病原体」に感染して病気になるときは、基本的に次のようなステップとして進行します。
1.病原体が体に入る
↓
2.体内で病原体が増える
↓
3.病原体が毒素を作ったり正常な細胞がダメージを受ける
つまり、病原体というのは生物としての性質を持っているからこそ人間の体の中で増殖するというわけです。
逆に言えばこの「生物としての性質」無ければ病原体ではないというのが生物学の常識でした。
もう少し詳しく言うと、バイ菌もウイルスも、
DNA(生物の設計図)→タンパク質(生物の構造)
というしくみを使って自分の分身を次々に増やしていて、設計図が無ければタンパク質が勝手に作られたりすること無いというのが定説だったのです。
ちなみにこの設計図→生物の構造という法則はセントラル・ドグマ(中心性定理)と呼ばれています。
(エヴァンゲリオンにも出てきましたね^^)
しかし近年、この法則に反して、生物としての性質を全く持たないただのタンパク質が病原体として働いている可能性が注目されはじめました。
それが狂牛病でおなじみの「プリオン」というタンパク質。
プリオン(正しくは異常プリオン)がなぜ病原体として働くのかについてはまだ分かっていない部分が多いようですが、どうもおかしな構造を持つプリオンが大量に体の中に入り込むと、体の中の正常な構造のタンパク質が不思議な力に影響されて、自分自身も異常な構造に変化してしまうらしい・・・と言われています。
これは非常に驚くべきことです。なにせ普通の工程ではありえないことが起こっているのですから。
例えばパソコンから誤字を含んだ文章を印刷してしまったとして、その誤字を含む紙を正しく印刷されたものと一緒にしておいたら、正しく印刷された方の紙まで内容がおかしくなった!というくらいの衝撃なのです。
ただし、プリオンに病原性があったとしても、大量に摂取しない限り体には影響が無いと言われています。
だから、もし仮に狂牛病にかかった牛のミルクからホエイプロテインやカゼインプロテインを作ったとしても、それを飲んだ人が病気になることはまず無いので、その点については安心して良いでしょう。
しかし、本来は有益な栄養素であるにもかかわらず、病原体として悪さをするとしたら、タンパク質の風上におけない不届き者ということになりますよねぇ・・・。
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