牛乳タンパク質の吸収について

前回の記事「牛乳タンパク質は吸収されない?」の続編として、牛乳からタンパク質を摂る場合の注意点についてまとめてみましょう。

乳糖不耐症の問題

「プロテイン+牛乳でお腹を壊す人へ」に書いたとおり、東洋人には牛乳に含まれている糖分を分解するのが苦手な体質(乳糖不耐症)の人が比較的多いと言われています。

そういう人はタンパク質の分解に問題が無かったとしても、牛乳に含まれる乳糖によってお腹を壊してしまうので、結果として栄養をうまく吸収できなくなってしまうでしょう。

言ってみれば、栄養と下剤を同時に飲んでいるようなものですからね(笑)。

もしかしたら、これが「日本人は牛乳のタンパク質を分解する酵素を持っていない」という誤解の原因かもしれません。

消化しにくいカゼイン

牛乳のタンパク質の主成分80%はカゼインというタンパク質です。

そして、特に牛乳に含まれるカゼインは分詞が大きく、消化するのが大変だという特徴があります。
(加工食品であるサプリメントのプロテインでも、カゼインが比較的消化が遅い栄養なのです。)

消化が遅いということは腹持ちが良くてお腹が空きにくい、長時間効果が持続するというメリットでもあります。

カゼインはタンパク質の中でも消化に時間がかかるという特長があります

ただ、人によってはお腹の調子が悪くなったり、飲むと気持ち悪くなるという症状が出ることがあるわけです。

小さな子供やもともとカゼインの吸収能力が低い人が摂り続けると、アレルギーや神経の病気の原因になることがあるという専門家もいます。

牛乳を飲むと調子が悪くなる人は、タンパク質もちゃんと吸収されな可能性が高いわけで、そういう人が無理に飲んでもマイナスにしかならないでしょう。

根拠のない説に惑わされない

他の記事にも書きましたが、「牛乳は牛のタンパク質だから人間には良くない」という極端な考え方は、科学的に考えて全くのデタラメです。

そんな事を言うなら、人間は人間の母乳や人肉くらいしか食べられないことになるでしょう(笑)。

草食動物は植物のタンパク質を、動物は他の動物のタンパク質を食べています。

生き物はそうやって他の生き物の栄養を自分の体に取り入れて分解するのが自然の姿なのです。

もちろん、体質によっては体に悪い栄養素もあるし、栄養を摂るなら牛乳以外にも色々な方法があるので、無理に牛乳を飲む必要はありません。

しかし、今の段階では、おいしく牛乳を飲めている人まで「牛乳は栄養としてダメだ!」「体に良くない!」と考えるだけの科学的根拠はまだ無いというのが当サイトの結論です。

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