タンパク質のスコアについて考える

前回の記事「アミノ酸スコアとプロテインスコア」では、アミノ酸スコアやプロテインスコア、そしてPDCAASという3つの指標について紹介しました。

どれもタンパク質の栄養価を表す数値ではありますが、それぞれの考え方には若干の差があります。

そのため、同じ食品のタンパク質であるにも関わらず、どの指標を使うかによって値が大きく異る場合があるわけです。

そうすると、一体どれを信じてタンパク質摂取量を考えればいいのか?と不安になる人もいるのではないでしょうか。

同じ食品でも、スコアの種類によっては大きく数値が異る場合があります

普通に考えると「一番新しい評価基準のPDCAASを使えばいいんじゃない?」と思うかも知れませんが、それも絶対の指標にはならないでしょう。

栄養学に関する考え方は時代や環境によっても変化していますし、いまだに「昔のスコアの方が正確」と主張する専門家もいるからです。

そこで今回は、タンパク質の栄養価をどう考えるかということについて、当サイトなりの見解を書いておきたいと思います。

個人差や食生活による違い

タンパク質の栄養価を評価する上では、「人体が必要なバランスでアミノ酸を補給するのが理想」という考え方が基本になっています。

しかし、実際にはこの「必要なアミノ酸のバランス」には個人差があるのです。

例えば、ヒスチジンというアミノ酸は、普通なら食品から摂らなくても体内で合成することができますが、成長期にはそれだけでは量が足りなくなる事が知られています。

また、含硫アミノ酸と呼ばれるタイプのアミノ酸はお米に多く含まれているので、お米をたくさん食べる人と全く食べない人では、それ以外の食品から摂るべき量が変わってくるでしょう。

場合によっては、普通なら食べることが必須と言われているアミノ酸すら体内で合成できる人もいるのです。

つまり、必要なタンパク質の種類やアミノ酸のバランスというのは体質や食生活などによって変動していて、一般的な「スコア」というのはあくまで目安に過ぎないということです。

目的に合わせて利用

そういう事を踏まえた上で、我々はタンパク質の栄養価を表す「スコア」を一体どのように考えるべきか?というと、これは目的によって違ってくると思います。

例えば、筋肉の量を増やすことが使命とも言えるようなボディービルダーなら、タンパク質の量や質が体に与える影響はかなり大きいでしょう。

そういう場合は、3つあるスコアの中で最も厳しい値を使って計算し、必要なアミノ酸が足りないように細心の注意を払う必要があるかも知れません。

実際に管理人が知っているある有名なボディービルダーの中には、植物性のタンパク質はアミノ酸のバランスが悪いからと、動物性のタンパク質のみを計算している人もいました。

これはちょっと極端なケースですが、目的によってはそれくらいシビアに考えている人もいるということです。

プロテイン・アミノ酸スコアの重要度

逆に、ダイエット時の栄養不足を避けるためとか、スポーツや健康のために営養に気を使っているという程度なら、そこまでする必要はまずありません。

どちらかというと栄養価が高く計算されるアミノ酸スコアの数値を参考程度に眺めておいて、必要なアミノ酸が大きく不足しないような内容の食事をするように心がけておけばいいでしょう。

タンパク質の摂取量が多すぎると内蔵に負担がかかりますので、よほど特殊な目的が無い限りは「そこそこの量」を補給しておくのが賢明です。

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