遺伝子組換え食品とプロテイン
バイオテクノロジーの進歩により遺伝子を組み替えた作物や、その作物を原料とした食品というものが世の中に誕生しました。
はたして遺伝子組換え食品というのは、安全なものなのでしょうか?
そしてプロテインの原料にも、遺伝子組換えの食品が使われている可能性はあるのでしょうか?
一応バイオテクノロジー技術者の資格を持っている管理人として、この問題について考えてみたいと思います。
遺伝子組換え食品の安全性は?
遺伝子というのは生物の設計図のようなもので、人間は人間の、牛は牛の、ミジンコはミジンコのDNAを持っています。
ただ、同じ種類の生物でも、全く同じDNAを持っているわけではありません。
同じ「人間」でも人が違えば遺伝子は違いますし、お米でも大豆でも世代が変わるごとに微妙に遺伝子が変化していきます。
つまり、遺伝子の組み換え自体は、自然界のあらゆるところで起こっているのです。
そしてこの遺伝子の変化を人工的に、人間にとって都合のいいように加工するのが遺伝子組換え技術。
つまり「遺伝子を組み替えること自体が危険」というワケではないのです。
しかし、自然には存在しない生物を作ることになるので、何かの間違いで危険なものが生まれてしまう可能性もあるのは事実。
実際に1980年代の後半には、日本国内で遺伝子組換え技術によって作られた健康食品による死亡事故も起きています。(トリプトファン事件)
もちろん自然界にも人間にとって危険な物質はあるし、文明が進歩する上で事故をゼロにするのは難しいのかも知れません。
ただ、少なくとも健康維持やスポーツの能力アップを実現するためのサプリメントに関しては、普通の食品以上に厳選した材料を使うべきだと思います。
従って現段階では、可能な限りプロテインなどの製造には遺伝子組換えの原料を使うべきではない、というのが当サイトの見解です。
日本の場合、ホエイプロテインについては原料の牛乳を国内で生産出来ているので、まず心配ないと思います。
ただし、大豆についてはかなりの分量を輸入に頼っているため、遺伝子組換え原料の混入に注意する必要があるでしょう。
プロテインに遺伝子組換え原料が含まれていた?
実は今から10年以上前、ザバス・ウイダーといった大手メーカーから発売されているプロテインからも遺伝子組換え大豆のDNAが発見されたことがありました。
特に健康被害などの事故は起こらなかったようですが、消費者にとっては微妙なニュースだと思います。
ちなみに平成13年4月からは遺伝子組換え食品についての表示が義務化されたため、気づかずに遺伝子組み換えのプロテインを買ってしまうことは(恐らく)無いはずです。
メーカーへの問い合わせに対する回答
各プロテインメーカーに、遺伝子組み換え原料に対しての取り組みについて聞いてみました。
ザバス(株式会社 明治) 様
ソイプロテインの大豆原料は、栽培から加工まで分別管理されたものが使用されていて、遺伝子組み換えのものが混じらないように管理されているそうです。
株式会社健康体力研究所 様
原料の調達段階で遺伝子組換えでない大豆のみを調達し、品質検査を行って上で製造に使用しているそうです。
ウイダー(森永製菓株式会社) 様
精算から生産、流通までの各段階で、遺伝子組換え大豆の混入が起きないように管理し、混在の無いことが書面で証明された原料だけを使用されているそうです。
恵比寿トレーディング 様
大豆の作付けから収穫、保管そして製品の製造までを管理し、非遺伝子組み換え大豆であることが第三者機関に証明された原料を使用しているそうです。
※品質を証明する書類も提供されています。
DNS(株式会社ドーム) 様
最近は一般の食品でも遺伝子組換え原料を含む可能性のある(不分別の)原料が使われているため、特にその点にはこだわらずに製品を製造しているそうです。
ただし、DNSの主力製品はほとんどがホエイプロテインなので、プロテインユーザーにはあまり関係ないかも知れません。
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