食糧問題と3つの「R」
以前に「ベジタリアンと食糧問題」というタイトルで、エネルギーや食料の不足への対応策として、人類がベジタリアン的な生き方をすることが有効なのでは?という日誌を書きました。
管理人はもともと生物学や化学などの分野を勉強していた経歴があるのですが、化学の分野には動物実験のための倫理原則として「3R」というのがあります。
これを食品にも応用できれば、限られた自然資源である食料を有効活用できそうなので、項目別に紹介してみましょう。
ちなみに3Rとは、Replacement・Reduction・Refinementという3つの英単語の頭文字を取ったものです。
・Replacement(代替)
これは化学実験を行う際にできるだけ動物を使わず、試験管内で培養した細胞などを使おうという考え方です。
そもそも人間の為に動物を犠牲にして良いのか?という根本的な問題はともかくとして、もし実験データがの内容が動物実験以外でも得られるのなら、その代替法を使った方がいいのは当然です。
これを食糧問題に置き換えるなら、動物の肉を他のタンパク質系食品や人工肉などで代用する方法が考えられるでしょう。
ただし、人工肉の味はまだ本物の肉に近いとまでは言えないので、技術の進歩が望まれるところです。
・Reduction(縮小・削減)
これは動物実験に使用する動物の数を出来るだけ減らすということです。同じ実験を行う場合でも、どれくらいのデータ数があれば実験として成り立つのかを分析し、最低限の規模で実験を行えば、犠牲は少なくて済みます。
食糧問題に当てはめて考えるなら、これは無駄なものを食べないという事に相当するでしょう。
人間の体は食べる量が少なくなれば、そこから出来るだけ栄養を吸収しようとする反面、無駄に沢山食べると栄養の吸収効率が低下します。
少ない食料で十分に生きていけるのであれば、無駄に食べる事を防ぐことでより多くの人に食料が行き渡らせることが出来るでしょう。
・Refinement(改良)
これは動物実験の質を高める事によって、動物の苦痛をやわらげたり、少ない実験から多くの有効なデータを得るようにするということで、結果的に動物への負担を減らし、実験の回数を削減する効果があります。
食糧問題に置き換えると、より少ないエネルギーで沢山の食料を生み出したり、廃棄する分量を減らすことだと考えられるでしょう。
例えば穀物は食肉用の家畜を育てるための飼料として使ってしまうと、肉として食べられるようになるまでに大きなエネルギーのロスがあるので、出来ればそのまま人間が食べた方が効率的です。
また、昔は廃棄物として処理されていた動物の内臓やイカスミなども、今は食材として活用されていますから、調理方法や食品の加工技術が向上することによっても、食料の無駄は少なくできるはずです。
食品業界に関わっている方、どうか新しい「3R」を推進してください。
一応当サイトの管理人が提唱者ですが、それについては無視しても構いませんので(笑)。
(管理人へのご連絡は不要です)