胃袋はなぜ溶けないのか?

サプリメントのプロテインにしても肉や魚などのタンパク質にしても、我々が口にする食べ物は、飲み込まれたらまず食道を通り、胃袋に入ります。

そして胃液の酸やタンパク質分解酵素によってある程度分解され、その後で腸へと進んで栄養や水分が吸収される・・・という仕組みになっているのは多くの人が知っている事でしょう。

しかし、肉類などがタンパク質なら胃袋自身もタンパク質。
それならば、なぜ胃袋は胃酸やタンパク質分解酵素で溶けてしまわないのか?という疑問が湧いてきます。

この問題を解決してくれる一つ目の存在が、胃袋の内部を覆う粘液の層。胃粘液です。

胃袋

目、鼻、口、喉などもそうですが、人間の粘膜はちょっと粘り気のある液体で覆われていて、胃袋の場合はこの粘液が胃酸を中和したり、タンパク質分解酵素から胃袋を守っているというわけです。

しかし、粘液の膜というのは雑に言えば「ちょっと濡れてますよ」程度の厚さしかありませんから、薬や強いアルコールなど胃粘液を分解する性質を持つものを飲むと、割と簡単に破壊されてしまいます。

だからお腹が空いている時に薬(種類にもよりますが)を飲んだり、強いお酒を飲むと胃の調子が悪くなりやすいと言われているのです。

そして、もう一つの重要な要素が胃袋自身の再生能力です。

胃粘液によって守られているとはいえ、その防御は「鉄壁」ではありませんから、胃袋も多少は分解されてしまう。

だから胃袋は自分自身を再生する能力も強く、多少のダメージなら新しい細胞を増殖させてさっさと修復してしまう力を持っているのです。

外科手術などで胃を切り取っても、しばらくすると元の状態に戻るのはこの再生能力があるためです。

ただし、胃粘液の分泌能力も胃袋の再生能力が弱っていく傾向にあるので、中年になってからは食生活に気を使わないと胃薬依存体質なってしまう可能性が高くなります。

・・・それにしても、消化される食物もタンパク質なら胃袋も、そしてタンパク質消化酵素も胃粘液の成分もタンパク質であることを考えると、タンパク質の働きが人間にとっていかに重要な物質であるかがよく分かりますね。

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