タンパク質と病気の関係

タンパク質は人間の体に無くてはならない栄養素ではありますが、時にはこのタンパク質が病気の原因になることもあります。

以前の日誌に書いた、「異常プリオン」などがそうですね。

今回はタンパク質そのものが病気を引き起こすわけではないもののが、前回紹介した狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病のような病気よりも、ずっと身近でリアルな病気に関係する話を書きたいと思います。

祖父母や親戚くらいまで範囲を広げれば、この病気に関係した人が居ないという人はむしろ少数派になるのではないでしょうか。

その病気とは、アルツハイマー病です。

アルツハイマー

アルツハイマー病は認知症全体の中で約半分を占めていて、もはやその名前を聞けば誰でも認知症がイメージできるというくらい「認知症の代表選手」になっています。

そして、このアルツハイマー病の発症には、「アミロイドβ」と「タウタンパク質」という2つのタンパク質が絡んでいるという節が有力です。

アミロイドβというタンパク質は普通の人間の体の中でも作られるのですが、これがうまく分解されずに蓄積されると毒性を持つようになります。

神経組織の中のタウタンパク質というタンパク質の構造をクシャクシャにして、神経回路が機能しなくなってしまうんだそうです。

人間の脳は神経細胞の塊なので、この症状が進むと機能がどんどん衰えていき、やがて認知症の症状が出るというわけです。

ちなみに下の画像は、アルツハイマー病にかかったある画家が、5年に渡って自分を失っていく様子を描いた自画像です。

アルツハイマー病 画家と自画像

最後の方の絵からは、認知症の深刻さがヒシヒシと伝わってきますね・・・

こちらのサイトでは、病気にかかる前からの自画像をスライドショーで見ることができます。(絵を切り替えるには、右上にある「NEXT」をクリックして下さい。)

まだ正確な発生メカニズムが分かっていないため、専門家の間でも意見が分かれてはいるようですが、アルツハイマー病にかかりやすいかどうかは、遺伝子によって大きく左右されると言われています。

例えば、アルツハイマー病にかかりやすい家系の人は、そうでない人に比べて20年も早く発病し、今のところこれを防ぐ効果的な方法は見つかっていません。
(><;)

また、生活習慣にも関係していて、肉や乳製品などの食品はアミロイドβタンパクを増やしやすく、有酸素運動などは逆に減らす効果があると考えられています。

昔は食品容器に使われるアルミニウムに原因があると言われたこともありましたが、今は調理器具や食器などから溶け出す程度のアルミニウムでアルツハイマー病にかかる事はないという説のほうが有力になっています。

今のところ有効な治療法のないアルツハイマー病ですが、タンパク質研究の進歩とともに、一日も早く「治せる病気」になってほしいところです。

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