革製品は食べられる?

遭難事故や飢饉(ききん)などで食料が確保できなくなると、普段はとても食べないようなものが「食糧候補」としてのし上がってきます。

木の根や野草はもちろんのこと、ダンボールなど恐らくはほとんど栄養にならないものまで食べられてしまう極限の環境です。

そして、身の回りにある物の中で「イザ」という時に食べられそうに思える物の一つが、牛革などで出来ているコートや靴といった革製品でしょう。

 革靴

当たり前ですが、革は動物の皮膚なわけですし、もし食べることができれば動物細胞が豊富に含んでいるタンパク質などを補給できることになります。

古いコメディー映画「黄金狂時代」でチャップリンが革靴を食べるシーンは特に有名で、この映画の影響か「革靴を食べる」というシーンははドリフターズのコントやアニメ「トムとジェリー」にも登場しました。

しかし、実際のところ飢えた時に革製品を食糧にできるかというと、これはなかなか厳しいようです。

まず、革製品というのは動物の皮をそのまま乾燥させただけ、というわけではなく「なめし」という加工をすることによって初めて革製品の材料になります。

なめしの方法には大きく分けて
・タンニンなめし
・クロムなめし
・コンビネーション(複合)なめし
の3つがあるそうで、このうちのクロムなめしとコンビネーションなめしに関しては、残念ながら人体に有害なクロムを含むため、食糧にするのが難しい。

特にクロムは加熱すると毒性の強い六価クロムという物質に変化するという性質があり、たとえ捨てる場合でも「不用意に燃やすのは良くない」とされていますから、これを食べるのはかなりリスクが高いと言えるでしょう。

唯一食糧になりそうなのはタンニンなめしですが、残念ながら衣類などはコストの安いクロムなめしであることが多いそうです。

タンニンなめしは手作りで作られるような革製品に用いられている事が多いとのこと。

身の回りの革製品がどんなタイプのなめしで作られているかを確認しておくと、飢えた時に食糧を確保しやすくなるかもしれません(笑)。

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