プロテインとプリン体と痛風の関係
プロテインマニアと呼ばれる人たちは、単にプロテインが好きで飲んでいるというわけではありません。
そういう人も中にはいるかもしれませんが、大抵は普段の食事にプラスして、、タンパク質不足が起こらないように使うという目的で使っているはずです。
しかし一部では、
「プロテインの摂り過ぎが痛風の原因になったり、痛風を悪化させる原因になり得るのでは?」
と心配している人もいるという話を聞きました。
今回はこの点について、当サイトなりに分析してみましょう。
痛風の原因と尿酸、プリン体について
痛風という病気の症状は、尿酸という物質が体内に過剰蓄積することによって起こります。
初期症状としては、足の親指の付け根の痛みとして現れることが多いようです。
体内の尿酸が増える原因は、飲酒、激しい運動、肥満、ストレス、遺伝的なものと色々ですが、栄養摂取という面で言えば、プリン体を多く含む食品を摂ることが一つの要因だと言われています。
プリン体は細胞の核を作っている核酸という物質に多く含まれていて、例えば肉類や魚介類などはプリン体が多めの食品です。
それでは、プロテインの原料やプロテインそのものに、プリン体はどれくらい含まれているのでしょうか?
プロテインと痛風の関係
プロテインの原料となっている食品の中でプリン体を比較的多く含む食品としては、大豆と牛肉があげられます。
このうちの牛肉プロテインはどちらかというとマイナーな製品ですが、大豆プロテインを飲んでいるプロテイン愛好家はけっこういるでしょう。
一応数値を書いておくと、大豆のプリン体含有量は100gあたり172mg。
痛風財団の基準では200mg以上が「多い」、100mg以下が「少ない」とされているので、「ちょっと多め」くらいの含有量でしょうか。
牛肉の方は部位によってプリン体の含有量が違っていて、内臓だと200~300mg程度、その他の部位(筋肉)では100mgと少な目です。
と、単純に大豆のプリン体含有量だけを見る限りでは、はっきりと「高い」という程でもなく、逆に他の食品と較べて「低い」とも言えない微妙なところです。
ただ、尿酸値というのは上記の通り激しい運動によっても増える性質があります。
なので、もともと尿酸値が高かったり痛風の症状がある人が、筋トレの内容をハードにしたり、ソイプロテインを飲み始めたりすれば、それが間接的に痛風の原因になったり症状を悪化させる可能性は否定出来ないと思います。
もしも尿酸値の高い人が筋肉増量計画をスタートさせるなら、一気に運動や栄養摂取の習慣を変えるより、尿酸値などを見ながら少しずつ変えていくほうが無難でしょう。
また、国立生物工学情報センターに登録されている2004年の論文には、乳製品の摂取が痛風の予防になるという事が書いてありましたので、一番心配が無いのはホエイプロテインということになりそうです。
(さらに上の図の通り、ホエイの原料である牛乳はプリン体を含んでいません。)
一応、概要部分の引用と日本語訳を載せておくので参考にしてください。
引用元URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15014182
<引用ここから>
Higher levels of meat and seafood consumption are associated with an increased risk of gout, whereas a higher level of consumption of dairy products is associated with a decreased risk. Moderate intake of purine-rich vegetables or protein is not associated with an increased risk of gout.
<引用ここまで>
<日本語訳>
高いレベルの肉や魚介類の消費は、痛風のリスクと関連している。
一方で乳製品の消費量のレベルはリスクの低下に関係している。
プリン体を多く含む植物の適度な摂取は、痛風のリスクの上昇とは無関係である。
栄養摂取や運動以外の原因にも注目を
ただし、そもそも尿酸が体に蓄積する原因は、食べるものに含まれる量が多い事だけではありません。
食事から摂るプリン体の量がそれほど多くなくても、その排泄の効率が悪いことが尿酸の蓄積につながることもあります。
プロテインに含まれるプリン体を心配する前に、肥満やアルコールの摂り過ぎなどの問題があれば、まずそれを解消する努力が必要なのです。
また、水分を十分に摂っておしっこの量を増やすことも、尿酸の排泄を増やすためには有効な方法です。
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