プロテインの時代は終わった?
最近、「プロテインの時代は終わった」みたいな広告をよく目にすることがあります。
その商品の内容をよく見ると、どうやらそのサプリの成分はアミノ酸やアミノ酸の代謝産物(アミノ酸が体内で変化してできる物質)のようです。
こういったものについて、当サイトなりに考察してみました。
アミノ酸はプロテインより優れている?
アミノ酸系のサプリの広告を見ると、プロテインが必ずしも全て体に吸収されるとは限らないこと、そしてアミノ酸なら短時間でスムーズに吸収されることなどをアピールしていることが多いです。
タンパク質は、確かに体内ではアミノ酸に分解されます。
しかし、アミノ酸を摂ればプロテインが不要なのかというと、そうとは言い切れません。
例えば、プロテインはアミノ酸よりも、分子として持っているエネルギー量が大きいという特徴があります。
だから「食事の代わりにプロテイン」ということができるわけです。
また、消化されながらゆっくりアミノ酸に変わっていくので、1度飲むと短くても1時間以上、長い場合はその数倍効果が持続します。
反面、アミノ酸は筋肉を作る「材料」にはなっても、持っているエネルギー量が高くありません。
アミノ酸サプリの広告には「たった数粒でプロテイン数十杯と同じ効果が」なんて書かれていたりしますが、実際には数粒のアミノ酸を飲んだところで、まったく腹の足しにはなりません。(当然、栄養としても不十分です)
また、アミノ酸は短時間で体に吸収されるという長所を持ってはいるものの、効果が消えるのも早いです。
一日中筋肉が合成されやすい状態にしたいと思ったら、何十回も飲む必要があるでしょう。
寝ている間にも効果が切れまくるので、何度も目覚ましで起きなくてはいけません(笑)。
さらに、アミノ酸はプロテインに比べて分子の状態が不安定なので、特定の種類のだけをたくさん摂ると、体調不良につながることもあります。
以上のように、そもそもアミノ酸を「プロテインの代わり」と考えることには無理があると思います。
例えばご飯(白米)の主成分はデンプンで、これを分解すればブドウ糖になるわけですが、
「お米の時代はもう終わりです。砂糖を舐めて過ごしましょう!」
といったら笑われますよね?
極端に言えばそういう話なんです。
HMBやEMRなどの成分について
最近ではHMB(ロイシン代謝産物)やEMR(糖転移ルチン)という新しい成分が研究され、これがサプリメントとして売られています。
確かにこういった物質は動物実験などで一定の効果をあげていて、原理から考えれば人間にも効果が「期待できる」ということに嘘はありません。
しかし管理人の経験上、これらの成分を摂ったからといって急激に筋肉がつくことはまずないと思います。
中には、掲示板などの書き込みを装って、さも筋肉がつくような印象を与えようとしている悪質な広告もあるので、この点には十分注意してください。
以下のNCBI(国立生物工学情報センター)に登録されている論文を引用して、「効果があることが証明されています!」なんて言っているサイトもありましたが・・・
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10606212
実際にその論文の概要をちゃんと読むと、
However, no statistically significant differences were observed in general markers of whole body anabolic/catabolic status
しかしながら、総じて全身の同化/異化に関する指標に統計的に有意な違いは見受けられなかった。(当サイト管理人訳)
ということが書いてあります。
分かりやすく言うと、
「大雑把に言うと、科学的に筋肉が付いたりするような反応を起こしているようには見えないよ」
ということが書いてあるわけです。
内容を把握しないで紹介しているか、英語だからどうせ読まないだろうという前提でゴマかそうとしているかのどちらかなんでしょう。
だいたい、錠剤をちょっと飲んだだけで大量のプロテインの代わりになるなら、既にトップアスリートはどんどんプロテインを飲まなくなって行っているはずです。
それが起こってない現状を見る限り
「プロテインの時代は終わった。」
などというのは、人目を引くことを狙った一種の「釣り広告」だと思います。
アミノ酸を活用するには?
上記の通り、アミノ酸は筋肉の材料「のみ」をピンポイントに補給するサプリ、プロテインは筋肉の材料と、その他必要な栄養素を長時間体に行き渡らせるサプリと、役割が異なっています。
なので、目的によって使い分けるというのが正しい方法になるでしょう。
例えば、普段のタンパク質補給はプロテインで、筋トレの前だけはアミノ酸を飲むようにすれば、アミノ酸の持つ「短時間で吸収される」という性質を活かせます。
また、普段の食事から十分にタンパク質が摂れている人の場合はプロテインを飲まずに、外食などでタンパク質の量が少ないと思った時だけアミノ酸を飲むようにしてもいいと思います。
(管理人へのご連絡は不要です)