アミノ酸スコアの合体技
肉や魚などの動物性タンパク質と比較すると、一般的には米や小麦などに含まれる植物性タンパク質はアミノ酸スコアが低めであることが多い傾向にあります。
しかし、食べ合わせによってはアミノ酸スコアの低い食品同士が互いに足りないものを補って、スコアをアップさせる合体技が可能になる場合もあるのです。
今回は、その原理と実例を紹介しましょう。
アミノ酸スコアの補完機能とは
ここで、アミノ酸スコアについてちょっとおさらいしておきます。
アミノ酸スコアが低い食品とは、言ってみれば足りないアミノ酸があるためにタンパク質として上手く利用出来ないタンパク質を持つ食品ということです。
例えば自動車を例とするなら、ある自動車部品のセットが、
・エンジン×1 ボディー×1 タイヤ×4
という内容だったとします。
この場合はキッチリ1台の自動車が作れる事になり、無駄もありません。
つまりスコア100です。
これに対して、
・エンジン×1 ボディー×1 タイヤ×6
という比率だと、タイヤ2本は有効利用できず効率が悪い組み合わせということです。スコアは70~80くらいといった所でしょうか。
更に、
・エンジン×1 ボディー×1 タイヤ×0
というパターンだと最悪で、自動車を組み立てられません。つまりスコアは0ということになるでしょう。
しかし、この最悪のパターンにもう一つ車を作れないパターンの
・エンジン×0 ボディー×1 タイヤ×4
というこれまたバランスの悪い部品のセットを足せば、両方の合計で、
・エンジン×1 ボディー×2 タイヤ×4
という数になり、多少のロスはあっても一台の自動車を作ることができるわけです。
栄養に話を戻すと部品のセットがタンパク質、各部品がアミノ酸という意味になり、アミノ酸スコアの低い食品同士でも上手く組み合わせれば、体内に取り込んだ場合のアミノ酸が高くなる場合があるということです。
代表的な合わせ技
それでは代表的な「合わせ技」の例をご紹介しましょう。
米と大豆食品
白米のアミノ酸スコアが低いのは、主にリジンという必須アミノ酸の量が少ないためです。
これに対して、納豆などに不足しているのはメチオニンというアミノ酸でリジンは豊富。だからご飯に納豆というような組み合わせはアミノ酸の合わせ技に有効です。
ゼラチンとアーモンド
ゼラチンは必須アミノ酸の一つであるトリプトファンを全く含まないため、他のアミノ酸が抱負なのにスコアが0というもったいない食品です。
これに対してアーモンドなどのナッツ類はアミノ酸スコアこそ低いものの、トリプトファンの量が多いという特長があります。よってこのペアでも合わせ技が成立します。
あまり意味の無い組み合わせは?
一部の書籍などでは「白米のようにアミノ酸スコアが低い食品でも、魚などと組み合わせることでスコアを高められる」というような解説がありますが、個人的にこのような組み合わせには大いに疑問を感じます。
なぜならアミノ酸スコアの合わせ技は、お互いに足りないものを補うからこそ意味があるからです。
魚や肉のようにもともをアミノ酸スコア100のものと他の食品を組み合わせても、単純に平均値が上がるだけで、プラスアルファの効果は得られないと考えられます。
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