若返りとタンパク質
我々プロテインマニアだけでなく、多くの人にとってタンパク質は重要な栄養素です。
筋肉や内臓だけではなく、骨や髪の毛、皮膚や眼球に至るまで、体の多くの組織はタンパク質から作られています。
さらに、最近は血液中に含まれるあるタンパク質に若返りの効果があるのでは?という期待が高まっているようです。
事の発端はマウスの血液に関する実験。
ある実験により、血液中に含まれる「GDF11」という物質の濃度が、若いマウスでは高く年をとったマウスでは低いことが分かりました。
そこで研究者たちは、若いマウスから採取した「GDF11」を老化したマウスに輸血したところ、記憶力が蘇ったり、知能に関するテストの結果が向上するなど、まるで若返ったかのような効果が得られたという話です。
この実験結果に関しては反対の説を唱える科学者もいるものの、「若返り」に関する強い希望を持つ人は多く、すでに人間に対しての臨床実験が計画されているんだとか。
具体的には、参加希望者に対して16から25歳の若者から採取した血液を週に1回、4週間にわたって輸血するというもの。
ただし、この臨床実験への参加は有料で、参加費は一人8000カナダドル(記事執筆時のレート換算で62万円ちょっと)に設定されています。
しかし、個人的には医学の常識で考えれば、今の段階で若返りを狙って輸血を受けるのはちょっとリスクが高すぎるように思のです。
過去の歴史を見ても、「輸血による若返り」実験はことごとく失敗に終わっています。
例えば1492年、ローマ教皇インノケンティウス8世は、若返りを求めて3人の少年の血液を輸血した後に死亡してしまいました。
この時代には血液型なども分かっていなかったでしょうから、かなり無謀な挑戦だったと言えるでしょう。
19世紀のロシアの科学者、アレクサンドル・ボグダーノフという人も、輸血による若返りが可能だと考えて11回の輸血実験を行いましたが、その輸血によって結核やマラリアに感染して死亡しています。
そして、残念ながら今の医学をもってしても輸血による感染症を100%防ぐことはできません。
だから、実際に輸血を行うのはそのリスクを取ってでも輸血をせざるを得ないケース、つまり命にかかわる場合にのみ行われるのが普通なのです。
現代の「輸血による若返り実験」が望み通りの結果につながらなかったとしても、それはそれで「この方法ではうまくいかなかった」という意味でのデータとしては価値が有るのかもしれませんが・・・
庶民感覚から考えると、大金を払って実験台になるというのは、ちょっと割に合わない気がしてしまうんですよね(苦笑)。
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