
タンパク質と微生物の力
食品としてのタンパク質源というと、鶏肉や牛肉などの動物や大豆などの植物を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、タンパク質が人間の体に入るまでには、微生物の力が大きく関わっているという事をどれくらいの人が知っているでしょうか?
例えば、牛の例を考えてみましょう。
牛は草食動物で、食べるのはほとんど草ばかり。
そして、草だけではあの巨体を維持するだけのアミノ酸やタンパク質を補うのはほぼ不可能と言えるでしょう。
そこで牛たちは体の中に、他の栄養素からアミノ酸やタンパク質を合成する能力を持った微生物を飼っています。
もちろん意識してペットのように育てているわけではありません(笑)。
牛の体の中には栄養合成能力を持った微生物が住んでいて、住み心地のいい環境と引き換えに、牛が体を維持・成長させるためのアミノ酸やタンパク質を提供しているわけです。
また、大豆などの植物も、自分だけの力で全ての植物性タンパク質を合成しているわけではありません。
大豆の根っこには根粒菌という微生物がたくさんくっついていて、光合成によって作られる栄養と引き換えに、植物性タンパク質の元になる栄養素を大豆に提供しています。
だから大豆などマメ科の植物を引っこ抜いてその根っこを見てみると、所々に根粒菌によって作られた塊のようなものが確認できます。
サプリメントとしてのプロテインも大豆や牛乳から作られるわけですから、結局のところ私たちが飲んでいるプロテインも
微生物→牛→人間
又は
微生物→大豆→人間
という経路をたどってきているわけで、ある意味では以前に書いた「バクテリアプロテイン」ということになるんでしょうか(笑)。
最近は微生物の力を人間の利益になるように活用する技術もどんどん進歩していますから、数十年の後には牛や大豆の部分を取っ払って、直接微生物から食品をつくる時代がくるのかもしれません。
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